2026.08.28
金曜
営業利益が3Qで28.8%増と大きく改善、関税還付(約29億ドル)が粗利率を押し上げ。ヘルス&ウェルネス減は薬価規制の影響。通期ガイダンスは明示されず。
- Q2(3ヶ月)の総売上は1,879億ドルで前年比5.9%増、純売上は1,861億ドル(同5.9%増)。eコマース売上は23%増(82億ドル増)と高い伸び。
- Q2の営業利益は93.8億ドルで前年比28.8%増、売上高比5.0%(前年4.1%)に拡大。マージン改善をけん引したのは関税還付。
- Q2のGAAP希薄化後EPSは0.80ドルで前年同期(0.88ドル)から0.08ドル減少。前期は投資の公正価値益(27億ドルの益)があったためで、営業面は堅調。
- 米国小売の既存店売上(暦年ベース)はQ2に3.3%増(燃料除く)、Sam's Club U.S.は8.6%増と高成長。グロッサリー・ゼネラルマーチャンダイズがけん引、ヘルス&ウェルネスは薬価の最高公正価格規制の影響で減。
- Q2に米通関当局(CBP)から約29億ドルの関税還付を受け、その大部分を価格投資に充当するとともに、粗利率は前年比+96bpで改善(25.4%)。
会社ガイダンス
通期
本10-Qには、会社自身による次四半期・通期の数値ガイダンス(売上高・EPS・粗利率等の具体的見通し)は明記されていない。ただし「関税還付の大半をfiscal 2027を通じて引き続き価格投資に優先配分していく」との方針が言及されており、マクロ経済見通しの不確実性が継続するとの認識が示されている。
背景・要因
- 関税還付: Q2に米国CBPから約29億ドルの関税還付を受領し原価を減算。粗利益率を+96bp(3ヶ月)/+53bp(6ヶ月)押し上げ、大半を価格投資やコスト対策に再投資。
- eコマース・オムニチャネル成長: 店舗・クラブ配送が好調で、3ヶ月で23%増。Walmart U.S.の既存店売上に約4.9%寄与。
- Walmart+会員費収入が二桁成長、Sam's Clubは会員数とPlus会員増によりメンバーシップ収入がプラス。Sam'sは5月1日付で年会費を値上げ。
- 好調な為替: 国際セグメントの純売上を3ヶ月で15億ドル、6ヶ月で39億ドル押し上げ。
- ヘルス&ウェルネス減: 2026年1月施行の処方薬の最高公正価格規制により、Walmart U.S.の健康・ウェルネス部門が圧迫。
- 投資の公正価値変動: その他利益・損失は3ヶ月で12億ドルの損失(前期は27億ドルの益)。EPSの振れの主因。
リスク・懸念
- マクロ経済の不確実性: 関税・貿易制限、インフレ、為替変動、消費者信頼感、雇用、燃料価格変動、サプライチェーン圧力が業績に影響する可能性。米国販売の3分の1未満が輸入品で、中国・ベトナム・メキシコ・インド・カナダからの輸入が多い。
- 経営費(オペレーティング費用)の上昇: 自己保険の一般賠償請求費用上昇、設備投資に伴う減価償却費増加、加入者増と医療費インフレによる従業員医療費の増加。
- 法令・規制リスク: オピオイド関連訴訟、米司法省(DOJ)の民事訴訟、False Claims Act訴訟、Asdaの同一価値請求、Spark Driver運転手を巡るFTC・州との和解(1億ドルの判決)、メキシコCOFECE独占禁止問題、インドのFlipkartを巡るFDI・独禁問題など。
- 薬価規制リスク: 処方薬の最高公正価格規制が健康・ウェルネス売上を圧迫しており、今期以降も影響が続く可能性。
- 格下げリスク: 商業手形・長期債の格付け維持が資本市場へのアクセスに重要で、格下げ時は借入コスト上昇につながる。