2026.10.02
金曜
売上高は前年比4%減(為替中立5%減)も、Gross margin改善と経費削減でEPSはほぼ横ばい、Greater ChinaとConverseの苦戦が続く
- 第1四半期(2026年8月31日終了)の売上高は$11.2B(前年$11.7B)、前年比4%減(為替中立ベース5%減)。NIKE Brandは$11.0Bで4%減。
- Gross marginは60bp上昇し42.8%に改善。倉庫・物流コスト低下が約90bp押し上げ、為替も約40bpプラス寄与。
- 希薄化後EPSは$0.48(前年$0.49)、純利益は$712M(前年$727M)で2%減。EBITは$907Mと前年$904Mからほぼ横ばい、EBIT marginは7.7%→8.1%に改善。
- 地域別ではNorth Americaが売上2%増・EBIT 3%増と堅調な一方、Greater Chinaは売上22%減(為替中立26%減)・EBIT 34%減と大幅悪化。Converseも売上28%減・EBIT 36%減。
- NIKE Direct売上は$4.1B(前年$4.5B)で為替中立9%減(Digital 13%減、店舗5%減)。在庫は$7.8Bで5月末比5%増(製品構成の変化による)。
会社ガイダンス
通期
2026年10月に複数年にわたる全社プログラム「Pace」(2026年3月発表のコスト再編計画を含み、これを発展させるもの)を発表。生産性向上・組織効率改善・コスト構造削減を目的とし、税前費用として約$1.0Bを見込む(fiscal 2026に認識済みの約$0.3Bの退職費用に加算)。費用は主に従業員退職金・関連費用で、約$0.3Bをfiscal 2027に認識し、残額はfiscal 2031までに認識する見込み。大半が将来の現金支出となり、全額がfiscal 2031末までに実質的に発生する見込み。プログラムはfiscal 2031までの累計で約$2.5Bのコスト削減効果を見込む(上記税前費用および将来の再投資前ベース)。またfiscal 2028に向けて3地域体制(Americas、APGC、EMEA)への組織再編を予定。
背景・要因
- Gross margin改善:倉庫・物流コスト低下(約+90bp)、為替・ヘッジの好転(約+40bp)、NIKE Brand製品原価低下(約+10bp)。一方で第三者ロイヤルティ等のその他コスト増(約-40bp)、ASP低下(約-30bp)、Converse粗利率低下(約-10bp)が相殺。
- NIKE Direct及びデジタル売上減少:全価格帯プラットフォームへの再ポジショニング、在庫整理のための値引き増加、卸売パートナーへの返品・割引増加が影響。
- Greater Chinaの大幅減収:店舗トラフィック減少、プロモーション過多、市場全体の在庫高が売上・収益性を圧迫。
- Operating overhead expenseが6%減($2,658M):人件費関連およびその他管理費の減少。
- 実効税率が21.1%から22.7%に上昇:主に海外税務監査の和解による。
- Demand creation expenseが5%増($1,252M):主要スポーツイベントへのブランドマーケティング投資増加。
リスク・懸念
- 地政学的動向、税制、為替変動、関税政策の変更が消費者行動や売上・収益性に重大な悪影響を及ぼす可能性。
- NIKE SportswearおよびJordan Brandに関する追加対応はfiscal 2027を超えて長期化する見込みで、値引き水準の高止まりと市場圧力が背景。
- Greater Chinaは店舗トラフィック減少、プロモーション過多、在庫高が継続し、収益性への悪影響はfiscal 2027を超えて続く見込み。
- Converseはブランドと市場の戦略的リセット途上にあり、対応はfiscal 2027を通じて継続する見込み。
- Paceプログラムのコスト削減効果・費用・将来キャッシュ支出は各種前提に依存し、実際の結果が大きく異なる可能性がある。
- ベルギー税関による関税不足申立て(fiscal 2018以降の輸入分)。損失範囲の見積もりは困難で、不利な解決となれば財務に重大な悪影響の可能性。
- 米国IRSによるfiscal 2017〜2023の税務監査、およびオランダへのState Aid調査(2019年開始)に関する不確実性。